CREATE COMMUNITIES

つながるひろがるACTION

2024/8/29 掲載 ※掲載内容は取材当時のものです

「中央線沿線で、クラフトビール文化の醸成を」
そんな願いから2018年に始まった「中央線ビールフェスティバル」。
武蔵境駅のnonowa Terraceや境南ふれあい広場公園を会場に、
沿線の飲食店が集結する人気イベントとして毎年開催されています。
さらに武蔵境駅では、敷地の一角を活用したホップ栽培が進行中!
収穫したホップから、オリジナルビール「ぽっぽやエール」が誕生しました。
ただのフードフェスにとどまらない、武蔵境のカルチャー創出をご紹介します。

ビール好きも家族連れも楽しめる
「中央線ビールフェスティバル」

「中央線ビールフェスティバル」の実行委員会事務局を務めるのは、武蔵野市に本社を構える広告企画制作会社スイベルアンドノット。2018年に武蔵野市初となるビール醸造所をオープンし、また武蔵境駅のハロウィンイベントをはじめとするさまざまな地域イベントをサポートしてきた経緯から、今回のフェス企画が持ち上がりました。
2018年から2019年末までに3回開催し、コロナ禍の2020年・2021年は「おうちで楽しむ 中央線ビールフェスティバル」としてクラフトビールをオンラインにて販売。そして2022年、徹底した感染対策のもと念願のリアルフェスが再開されました。

クラフトビールを出会いのきっかけに

「中央線ビールフェスティバル(以下、ビールフェス)」の特徴は、ベビーカーを押したファミリーの来場者が多いこと。これはビールフェスの狙いの一つで、ビール以外にも多彩なフードを提供したり、野外ライブを行ったりして、普段クラフトビールに興味のない人やお店に行きづらい人でも気軽に立ち寄れる工夫を凝らしています。イベントの中心はビールですが、目指しているのは「この場を介して地域のさまざまな人たちが出会うこと」。毎回期待を超える数の来場者やビール醸造者、地域の飲食店、ミュージシャンが集まり、青空のもとで参加者同士の自然な会話が生まれる心地よい場となっています。

細やかな配慮とコミュニケーションでファンを増やす

公共スペースでアルコールを提供するため、ビールフェスの開催にあたってはトラブル対策やゴミの管理・掃除などを徹底しています。2022年は感染症対策として、事前チケット販売などのキャッシュレスの仕組みも導入しました。地域に根付くイベントとして継続させていくには、こうした配慮の徹底は不可欠です。
リアル開催ができなかった2020年・2021年は、【快速パック】【通勤特快パック】【青梅特快パック】という中央線らしい名前のクラフトビールパックをECサイトにて販売するとSNSでも話題に。オンラインでのブルワリー見学も実施してファンとのつながりが絶えないよう活動を続けた結果、近隣地域以外にもビールフェスを知ってもらうきっかけができ、認知拡大につながりました。

タッチポイントを増やし、ノウハウの横展開も検討中

リアルとオンラインで活動を続け早6年、中央線沿線を代表するイベントとしてすっかり定着した「中央線ビールフェスティバル」。現在は「中央線が好きだ」サイト上に専用ページを設けていますが、今後はアプリなども活用し、お客さまとのタッチポイントをさらに広げていく計画です。このあとご紹介する、ビールフェスから生まれた「ぽっぽやエール」の商品化も本格的に始まり、ファンの輪はより一層広がりそうです。
中央線沿線ではこの他にも、「中央線パンまつり」や「中央線コーヒーフェスティバル」など沿線のフードビジネスを巻き込んだ人気イベントが開催されています。培ったノウハウとファンの輪を展開しながら、イベントの域を超えた「文化」と「コミュニティ」の形成を引き続き目指していきます。

駅からクラフトビールが誕生?!
「ぽっぽやエール」

「ぽっぽやエール」とは、「中央線ビールフェスティバル」をきっかけに始まった新規事業のひとつ。「東京でホップを育てようプロジェクト!」と連携し、ホップ栽培からオリジナルのクラフトビールづくりまでを武蔵境駅を中心に行おうという大胆な試みです。
2021年3月、武蔵境駅近くの敷地内で駅社員によるホップ栽培がスタート。同年秋には収穫したホップの初醸造が行われ、「ぽっぽやエール」として初お披露目。2022年のビールフェスでもふるまわれ、飲みやすい爽やかな味わいが人気を呼びました。2024年はホップ栽培の輪が広がり、中央線・南武線沿線で11か所でホップを育てています。

土いじりをする駅員がいる、というユニークさ

駅の敷地内で行われているホップの世話は、主に武蔵境駅の駅社員たちが担当しています。「思ったより重労働……」「駅社員なのにホップを作るなんて(笑)」など最初は戸惑いながらも、いつの間にか水やりがすっかり社員たちの日課に。ホップが成長する様子をお知らせするポスターを作成し、駅構内に掲示するなど、有志による発信活動も始まりました。
ホップは決して栽培が簡単ではないため、虫食いやカビが発生したり、猛暑で枯れてしまったりすることがありますが、ご協力いただいているホップ農家の方からアドバイスをいただきながら栽培を続けています。

「あのホップがこのビールに?」 お客さまの注目も上々

「ぽっぽやエール」の醸造は、クラフトビールを製造する26Kブルワリーの皆さんにご協力いただいています。現在栽培しているホップで醸造できるのは、たっぷりビール瓶(330ml)約8,000本分(2024年製造予定数)。醸造会には駅社員も立ち会い、販売する瓶のラベルには市民からの公募イラストを採用し(※2021年醸造分)、まさに“みんなでつくるビール”が完成しました。
「ぽっぽやエール」は、まずオンラインビールフェスの「快速パック」のラインナップとして販売。その後、駅に隣接する商業施設「nonowa武蔵境」にて数量限定で販売したところ、完売するほどの人気に! 2022年のビールフェスで提供した際には、「ぽっぽやエールを目当てに来ました」「あのホップはこのために育てていたんですね!」などお客さまからたくさんの注目を集めました。
2024年現在では、中央線・南武線沿線のイベントで、瓶の他サーバー販売も実施。沿線以外の多摩エリアで開催されているビールイベントでも販売して「ぽっぽやエール」の認知度はどんどん上がってきています!

通り過ぎるだけの駅から、カルチャーの起点へ

「ぽっぽやエール」および「中央線ビールフェスティバル」の活動について、担当するスタッフたちは「武蔵境と中央線のシンボルになった」と話します。ホップを共通の話題に駅社員と駅利用客の間に会話が生まれることも多く、コミュニケーションのきっかけになっているとか。
普段はただ通り過ぎるだけだった駅に、ちょっと足を止め、ホップの成長を見守りながら会話をする時間ができる。それが「ぽっぽやエール」となって、沿線外の人にも広くストーリーが届く。そして興味を持った人が、武蔵境のビールフェスに足を運ぶ。駅を基点としたカルチャーの広がりに、今後もぜひご期待ください。

COMMENT 担当者より

イベント当日以外でも、お客さまとのつながりを実感

中央線ビールフェスティバルでは、駅の改札窓口でも公式グッズや回数券の引き渡しを行いました。改札で物品の受け渡しをすることに始めは戸惑いや不安がありましたが、想像以上のお客さまにご利用いただき、「こんなにたくさんの人がフェスを楽しみにしてくださっているんだ」と感動しました。改札の持つ可能性に改めて気づかされましたし、今後もより広い範囲で地域の方々との交流の場をつくっていきたいと思います。(nonowa武蔵境 川口)

nonowa武蔵境 川口

nonowa武蔵境 川口