CREATE COMMUNITIES

つながるひろがるACTION

自宅で不要になった古着を回収し、
きれいにして再利用できるものはリユースして、
それ以外は繊維に戻して新たな製品に生まれ変わらせる——
そんなサステナブルな衣服の活かし方を、
みんなが普段利用する駅を起点に実現できたら。
予想を上回る反響とともに、新たなチャレンジが始まりました。

サステナブルな取り組みを、駅から始める

ファストファッションが台頭し、衣類の大量生産が進んだ現代。世界規模の大きな課題となっているのが衣類廃棄物です。国内の廃棄量を見ても、手放したのち再利用されることなく焼却・埋めたてされる衣類は6割以上に上るといいます※。衣料品を多く扱うショッピングセンターを展開するJR中央線コミュニティデザインでは、これまでもクーポン券と引き換えられる古着回収イベントなどを実施してきました。その取り組みを、よりSDGs貢献につながるサステナブルなものにする狙いから、2022年にMAWASU STATIONが始まりました。
※参考:環境省「サステナブルファッション

3社協業で始まった仕組みづくり

企画に際しJR中央線コミュニティデザインがタッグを組んだのは、JR東日本のリソースを活用して事業創生を支援する株式会社JR東日本スタートアップ。衣類循環への意識を持つアパレルブランドを展開する株式会社オールユアーズを紹介いただき、3社協業でスキームを構築しました。
MAWASU STATIONでは、まずJR中央線コミュニティデザインが運営している駅やショッピングセンターで不要になった衣服の回収を行い、回収した衣類の選定から再利用までを株式会社オールユアーズが担当。回収後にメンテナンスや抗菌加工を行い、企業ユニフォームなどへの再利用を行います。

予想をはるかに上回る5トンもの回収に成功!

2022年7月に始まった第1弾では、企画に賛同した武蔵境駅、東小金井駅、西国分寺駅、稲城長沼駅、及びセレオ国分寺の計5か所で回収を実施。ポスターなどで告知をし、専用ボックスを設置して回収をスタートしました。「1,000枚くらいは集まるかな?」と予想していましたが、3か月間の回収結果は……なんと合計16,000枚以上! 重量にして約5トンもの衣類が集まったのです。回収した衣類を一点一点選別した株式会社オールユアーズも、これにはびっくり。駅の持つ影響力が表れる結果となりました。

衣類を再繊維化し、製品として戻ってくる仕組みを確立

駅という利便性が功を奏し、衣類を回収するという点では大成功だった第1弾。しかし大量の回収量に対し、実際にリユースできた衣類はごくわずかでした。
そこで2023年に実施されたMAWASU STATION第2弾では、回収した先の“出口戦略”に注力。衣類を衣類のまま再利用するのではなく、一度繊維に戻してから新たな製品へと生まれ変わらせる仕組みに挑戦することになりました。

取り組みに共感した企業が新たに参加

回収した衣服の繊維化を担う助っ人として、新たに参加いただいたのが紡績メーカーのクラボウ(倉敷紡績株式会社)です。回収した衣類を、クラボウのアップサイクルシステム「L∞PLUS(ループラス)」を使って再繊維化。株式会社オールユアーズのディレクションのもと、蘇らせた糸から「MAWASU STATION オリジナル手ぬぐい」と「MAWASU STATION オリジナルハンカチ」を商品化しました。商品は株式会社オールユアーズのオンラインストアのほか、JR中央線コミュニティデザインも一部のショッピングセンターを販売場所として提供しました。

より多くの駅を巻き込み、ビールフェスでの販売も

さらに第2弾では、JR中央線コミュニティデザインの回収場所を5拠点から11拠点に拡大。再生繊維化によって生まれた手ぬぐいを中央線ビールフェスティバルにて販売したり、ペイントを施してもらうイベントを行ったりと、中央線沿線各地でMAWASU STATIONを知っていただく機会を増やしました。

ポテンシャルは十分。
あとはストーリーをどう伝えるか。

今回の取り組みから分かったのは、駅の持つポテンシャルの高さです。不要になった衣類を気軽に持っていけること、ブランドごとに仕分けせず一か所で回収できることなど、利用者にとっての利便性が高く、それが回収量に直結しました。
一方で課題となったのは、回収後の活用手段とストーリーの伝え方です。スキームや取り組みの意義を知れば共感してくれる方がたくさんいますが、事業として育てていくには、もっと広く・わかりやすく伝える方法も必要。第1・2弾の経験と成果を活かしつつ、駅を起点としたサステナブルな循環の輪を広げていきたいと思います。

COMMENT 担当者より

回収に伴う現場の不安を、コミュニケーションで解決

「第2弾を通じ、商品の裏側にあるストーリーをいかに伝えるかが課題だと感じました。社会貢献性やサステナビリティへの理解や共感を、よりパッと分かりやすく届けられるよう、価値の伝え方を工夫していきたいです」(写真左/齋藤)

「回収を始める前には、ボックスを設置する駅から安全上の懸念の声もあがりましたが、コミュニケーションをしっかり取ることで協力体制を築くことができました。実際に回収が始まればそんな心配も杞憂に終わり、地域の方々のご協力あっての回収結果になったと思います。今後も地域の方に新しい駅のイメージ、価値を感じてもらえる取り組みに挑戦します」(写真右/久郷)

VMV推進室 齋藤、地域活性化部 久郷

VMV推進室 齋藤、地域活性化部 久郷

ここにしかないくらしをつくろう