自分の住む街に、人に自慢できるお土産があったらいいな。
そんな地域の方からの声を受け止め、
自分たちで生み出そう!と始まった、にしこくおみやげプロジェクト。
にしこく愛の強い協力先の方々と試行錯誤して、
“ここにしかないおみやげ”を
開発・販売しています。
中央線と武蔵野線の2路線が乗り入れ、乗り換えで多くの人が往来する西国分寺駅。利用者数は多いものの、一方で乗り換えの待ち時間を過ごす場所がなく、駅構内の有効活用も積年の課題となっていました。何があればお客さまは喜んでくれるだろう? 自分たちだけで考えていても、答えは出ません。まずはお客さまの「声」を聴いてみようと、駅の投書箱とオンラインのアンケート、そして直接のお声がけを実施し、地域の方々のご要望に耳を傾けました。
集まったアンケート回答の中から西国分寺駅が着目したのは、「(乗り換え待ち時間に)軽食を食べたい」というご意見と、「西国分寺らしいお土産が欲しい」というもの。確かに待ち時間は退屈してしまうし、「乗り換え」という以外のこれといった特徴がないのは寂しい……。そこでその二つを同時に叶えるために、西国分寺の特産品をつかったフードを販売するアイデアが持ち上がりました。
ただ、スイーツをゼロから開発するのは、西国分寺駅にとって前例がないこと。大きな助っ人となったのは、社員とつながりがあった西国分寺の社会福祉法人AnnBeeさんと、2023年の「西国分寺駅50周年記念駅前フェスティバル」で協業した東京経済大学 小木ゼミナールの皆さんでした。
AnnBeeさんは、就労継続支援B型事業として国分寺市産の野菜「こくベジ」を使った焼き菓子を製造しています。地域貢献への思いから、本プロジェクトには二つ返事で参加をご快諾いただきました。一方の小木ゼミはマーケティングをテーマに数々の企業コラボに取り組んでおり、今回はその知見を活かし参加いただくことに。西国分寺駅は5名の社員が中心となってプロジェクトを統括し、商品企画はもちろん、パッケージ開発やロゴの作成等も、可能な限り自分たちで手掛けました。地域の多様な人々と協力し、地元の魅力をカタチにする、まさにCCDらしい地域密着型のプロジェクトです。
プロジェクトで開発することになったのは、国分寺のブランド野菜「こくベジ」を使ったオリジナルスイーツ。2023年12月と2024年4月に開催した販売会ではドーナツとフィナンシェ、2024年12月の販売会ではガレットが登場し、いずれも地元産の野菜や果物がふんだんに使われています。そして2025年1月からは、改札スペースにおいて念願の常時販売もスタート! 駅でいつでも購入いただけるようになりました。
初回の販売会ではAnnBee利用者のご家族や大学関係者の方々が「楽しみにしていたよ」と足をとめてくれ、スタートから想像以上の反響! その後もイラストが得意な社員が手書きの「おみやげプロジェクト通信」を制作したり、構内アナウンスやポスターで告知をしたり、SNSでの発信を始めたりと、プロジェクトの経過を随時公開していきました。その甲斐あってか、回を重ねるごとにリピートしてくださるファンのお客さまも増え、着実に認知度が向上。そんな中、プロジェクトでは「定期的な販売会だけでなく、常時販売ができないか?」という思いが強くなっていきました。
常時販売に向けてどこで実施できるかさまざまな可能性を模索する中で、改札を活用する新たな形にたどり着きました。駅社員自身が「改札でおみやげ販売ができるなんて考えたこともなかった」と言うほど、思いがけない展開でした。さっそく改札付近の壁に「にしこくおみやげプロジェクト」のデザインを施し、お菓子のサンプルも展示するなど急ピッチで準備を進め、2025年1月から改札での常時販売に至りました。乗り換えで駅構内を移動する人も、思わず目を止めてしまう大きな看板。プロジェクトの存在が、さらに多くの人に知れ渡ることになりました。
2023年のプロジェクト開始から、進化の勢いが止まない「にしこくおみやげプロジェクト」。2025年6月には、従来のスイーツに加え、おみやげ第2弾としてオリジナルブレンドコーヒーのドリップパックも新登場しました。取り組みを通じ、駅の雰囲気も少しずつ変わり始めています。
第2弾商品となるオリジナルコーヒーの開発を手掛けたのは、以前から催事を通じて西国分寺駅とつながりがあった地元のコーヒーロースターTakaiTOCoffeeさん。開発に際し、「西国分寺らしいコーヒーの味」を見つけることが課題となりました。それならば、プロジェクトの原点に立ち返って「お客さまの声」を聞くのが一番です。5種類のブレンドを用意して、駅で試飲会を実施するアイデアが浮上しました。実際に2回にわたって試飲会を開いたところ、協力してくださったお客さまはなんと延べ570名以上! アンケートで人気だった2種類を「にしこくブレンド~出発~」として商品化しました。地元のイラストレーターさんが描いたパッケージデザインも、複数案の中から投票で選ばれたもの。随所にまで地域の声が反映された、第2弾商品の誕生です。
普段の駅業務に、新たに加わった「おみやげ開発」という取り組み。安全第一で緊張感のある駅業務とは異なり、接客時は思わず声のトーンが和らいでしまうなど、お客さまとの新しいコミュニケーションも生まれ始めました。いつも駅をご利用されるお客さまから、「にしこくさん、最近変わったね」と声をかけていただくこともあるとか。ここにしかない魅力を生み出そうとする西国分寺駅の取り組みは、駅と地域に新たな風をもたらしています。
COMMENT 担当者より
やれば何でもできる、変えられる!
「地域の皆さまからありがたいお声をいただくことも増え、やりがいにつながっています。これからも愛される駅を目指します!」(S.M)
「改札でのおみやげ販売が実現できたのは、改めてすごいことだなと思います。何でもできるという自信になりましたし、お客さまとのコミュニケーションも広がって、改札はきっぷを精算する場所だという認識がガラッと変わりました。こうした取り組みを、他の駅や沿線にも波及させていけたらうれしいです」(A.Y)
「駅が地域の皆さまとより密なつながりを築ける場になったと実感しました。今後、駅を誇りに思っていただける存在になれば嬉しく思います」(I.M)
nonowa西国分寺 S.M、A.Y、I.M